NPO法人ホウ素系木材保存剤普及協会

ホウ酸塩処理・・・世界の事例

ホウ酸塩処理・・・世界の事例

ホウ酸塩は、ヒトやペットには安全で、木材劣化生物には厳しい、理想的な木材保存剤といえます。

材芯1/9

ホウ酸塩を用いた木材保存技術は、19世紀半ばにニュージーランドで実用化されました。天然林が枯渇したため、安価で食材甲虫の被害を受けやすいラジアータパインを建材として使用することになり、安価で安全な八ホウ酸二ナトリウム処理を義務づけました。

規格は、最初、材芯1/9部(図)の吸収量を0.2%BAEと定めましたが、後に0.1%BAEに低減されました。

ホウ酸塩処理材の使用に当たっては、溶脱を防ぐため非接地・非暴露(屋根や塗膜で雨水や液体の水から保護する)の用途に限定しましたが、これは今日でも正しい判断です。

1992年の報告で、正しくホウ酸塩処理された木材が仕様通りに使用され、建物が正しく維持管理された場合には溶脱による事故は皆無であることが明らかになり、世界中でホウ酸塩の利用が加速しました。

ハワイでは、イエシロアリの被害に対処するため、1985年の条例で、木造住宅の土台、梁、根太、床下地板、間柱、柱などすべての構造部材の防蟻処理が義務づけました。当初CCA処理材が主流でしたが、その後ホウ酸塩処理木材のシェアーが高まり、住宅部材のCCA処理が禁止された後はほとんどホウ酸塩(DOT)処理材に替わっています。

木造住宅の全ての構造材をDOT処理するTSS方式(Treated Structural System) は、今日、New OrleansやFloridaなどイエシロアリ被害の激しい地域に普及しています。

ハワイでDOT処理材のシェアーがCCAを圧倒した理由は、安全・環境指向の風潮に加えて、完成した住宅の事故率(蟻害)の低さにあります。固着型のCCA処理剤では、材中心部が保護できないためです。